働きながらでも受けられます
「働いていると生活保護は受けられない」と思っている方が多くいますが、これは誤解です。
働いていても、収入が最低生活費に届かなければ、その差額を受給できます。実際に、働きながら生活保護を受けている世帯は数多くあります。
生活保護は「収入がゼロの人のための制度」ではなく、「収入が最低限度に足りない人のための制度」です。
能力の活用という条件について
生活保護には「利用できる能力を活用すること」という要件があります。これが「働けるなら受けられない」と誤解される原因になっています。
しかし正しくは、能力を活用してもなお足りない場合に、その不足分を補うという意味です。働いているのであれば、まさに能力を活用している状態です。
収入がいくらまでなら対象になる?
「月収◯万円以下なら対象」という全国一律の基準はありません。最低生活費との比較で決まるためです。
最低生活費は、住んでいる地域・世帯人数・年齢によって変わります。目安として、単身世帯の生活扶助は次のとおりです。
| 級地区分 | 生活扶助(月額) |
|---|---|
| 1級地-1 | 76,220円 |
| 2級地-1 | 72,930円 |
| 3級地-2 | 68,240円 |
これに家賃分(住宅扶助、単身でおおむね月2万2千円台から5万3千円台)が加わります。
つまり賃貸住宅にお住まいの単身の方なら、最低生活費はおおむね月9万円台から13万円程度。手取りがこれを下回っていれば、対象になる可能性があります。
相談する価値がある状況
- 手取りが十数万円で、家賃を払うと生活が成り立たない
- 体調の問題で勤務時間を減らさざるを得ない
- 自営業の収入が落ち込んでいる
- ひとり親で、働いていても足りない
- 世帯人数が多く、収入が追いつかない
お住まいの市区町村ごとの正確な金額は、お住まいの地域のページで確認できます。
働いた分がまるごと引かれるわけではありません
収入があると、その分だけ保護費が減ります。ただし勤労控除という仕組みがあり、収入の一部は差し引きの対象から外されます。
そのため働いた方が、世帯全体で使えるお金は必ず増えます。「働くだけ損」ということはありません。
通勤にかかる交通費や社会保険料、所得税も実費として差し引かれたうえで計算されます。
労働時間に制限はある?
「週に何時間まで」といった労働時間の制限はありません。
判断されるのは時間ではなく収入額です。収入が最低生活費を上回れば保護は終了しますが、それは「働きすぎたから」ではなく「自立できたから」ということになります。
逆に、体調に応じて短時間から始めることもできます。無理をして体調を崩すより、続けられる範囲で働く方が、結果的に自立につながります。
雇用形態は問いません
正社員、契約社員、派遣、パート、アルバイト、日雇い、自営業、フリーランス。どの働き方でも、収入が最低生活費に届かなければ申請できます。
自営業・フリーランスの場合
収入から必要経費を差し引いた金額で判断されます。仕入代、材料費、事業に使う店舗の家賃などが経費として認められます。
帳簿や確定申告書の提出を求められることが多いので、記録を整理しておくとよいでしょう。
収入が不安定な場合
月によって収入が大きく変動する場合、福祉事務所が一定期間の平均などをもとに認定します。毎月きちんと申告することが前提になります。
働けない事情がある場合
働きたくても働けない事情がある場合は、それを具体的に伝えてください。次のような事情は当然に考慮されます。
- 病気や障害により就労が難しい
- 家族の介護をしている
- 小さな子どもがいて預け先がない
- 高齢である
- 就職活動をしているが決まらない
伝え方のポイント
「働けません」だけでは判断材料になりません。次のような点を具体的に説明してください。
- いつ頃から、どのような症状・事情があるか
- 通院している医療機関、診断名
- 日常生活でどのような支障が出ているか
- 就労を試みた経験があれば、その結果
医師の意見書や診断書の提出を求められることがあります。医療扶助を使えば、費用の心配なく受診できます。
すぐに働けなくても支援があります
長く働いていない、対人関係に不安があるといった場合、段階を踏んだ支援の仕組みがあります。
- 就労準備支援…生活リズムを整えるところから始める支援
- 被保護者就労支援…専門の支援員による個別支援
- 技能修得費…資格取得や職業訓練の費用(92,000円以内)
就労指導について
働ける状態にあると判断された場合、求職活動を行うよう指導されることがあります。
これは制度の目的に「自立の助長」が含まれているためで、ハローワークへの登録や、定期的な求職活動の報告を求められるのが一般的です。
指導には従う必要があります
正当な理由なく指導に従わない場合、保護の停止や廃止につながることがあります。
ただし、無理な指導ではありません
指導は必要な範囲を超えてはならないとされています。体調が優れないのに就労を強く求められるようなことがあれば、その状況を具体的に伝えてください。
納得できない指導については、説明を求めることができます。それでも解決しない場合は、審査請求という不服申立ての手続きもあります。
就職が決まったら
就職しても、すぐに保護が打ち切られるわけではありません。収入が最低生活費を上回るまでは、差額の支給が続きます。
また、新たに継続的な仕事に就いた場合は新規就労控除(月額12,900円)が6か月間つき、就職に必要な服などの費用として就職支度費(35,000円以内)も支給されます。
働いていることを理由に諦める必要はありません。収入が足りているかどうかが基準です。まずは相談してみてください。
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