生活保護でも持てるもの

生活保護を受けると、身の回りのものを何も持てなくなるのではないか。そう心配される方がいますが、そんなことはありません。

制度上の考え方はシンプルで、日常生活に必要なものは保有が認められます。処分を求められるのは、換金価値が高く、生活の維持に必要とは言えないものです。

実施要領では、資産の保有について次のような場合は認めるとされています。

  • 現に最低生活の維持に活用されており、処分するより持っている方が生活の維持や自立に役立つもの
  • 処分することができない、または著しく困難なもの
  • 売却代金より売却にかかる費用の方が高いもの
  • 社会通念上、処分させることが適当でないもの

テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、電子レンジ、掃除機といった一般的な家電は、この考え方から保有が認められます。

処分を求められることがあるもの

  • 換金価値の高い貴金属、宝飾品
  • 骨董品、美術品
  • 株式などの有価証券
  • 使っていない不動産
  • 解約返戻金の大きい生命保険

ただし、趣味の品でも処分価値が小さいものは保有が認められます。「贅沢品はすべて没収」というような運用ではありません。

スマホ・パソコンは持てる?

どちらも保有できます。

スマートフォンは今や生活必需品であり、仕事を探すにも、行政の手続きをするにも必要です。パソコンも同様に、就労や学習に使うものとして保有が認められています。

ただし、通信費は毎月の生活扶助費の中から支払うことになります。通信費として別枠で支給されるものではありません。

そのため、料金プランが高額すぎる場合は見直しを求められることがあります。格安プランへの変更などで、無理のない範囲に収めることが求められます。

通信費の割引制度はある?

生活保護を理由とする全国一律の通信料金割引はありません。障害者手帳を持っている方向けの割引(各社が実施)は別制度なので、該当する場合は利用できます。

エアコン・冷蔵庫などの家電

これらの家電も当然に保有できます。問題になるのは持っていない場合に購入費が支給されるかという点です。

購入費が支給される場合

次のいずれかに当てはまり、必要な家電を持っていない場合は、一時扶助として購入費が支給されることがあります。

  • 生活保護を受け始めたときに持ち合わせがない
  • 単身の方が長期入院・施設入所から退院・退所して、新たに一人暮らしを始める
  • 災害で失った
  • 引っ越しで住居の設備が変わり、今までのものが使えない
  • 暴力や犯罪被害を避けるために転居する

支給額の上限は、炊事用具や食器などの家具什器で36,700円(やむを得ない事情がある場合は58,400円)です。

エアコンの場合

冷房器具は78,000円の範囲内で支給されることがあります。ただし上記の事由に加えて、世帯の中に熱中症予防が特に必要な方がいることが条件になります。高齢の方、障害のある方、小さなお子さん、持病のある方などが該当しやすくなります。

設置工事費が別途必要な場合は、購入費とは別枠で認められることがあります。

壊れたときの買い替え

ここが実際に困りやすいポイントです。

受給中に家電が経年劣化で壊れた場合の買い替えは、原則として一時扶助の対象になりません。毎月の生活扶助費の中から計画的に備えることが求められています。

そのため、買い替えに向けて保護費をやり繰りして貯金しておくことは認められています。使う目的がはっきりしていれば問題ありません。事前にケースワーカーへ「冷蔵庫の買い替えのために貯めています」と伝えておくと確実です。

それでも困ったときは相談を

とはいえ、真夏にエアコンが壊れた、冬に暖房器具が使えなくなったといった場合、健康に直結します。原則は原則として、まずケースワーカーに相談してください。健康上の危険や修理の可否を踏まえて、個別に判断されることがあります。

また、社会福祉協議会の貸付制度や、自治体独自の支援が使える場合もあります。

買う前に相談することが大切です

一時扶助は、原則として購入前の申請・承認が必要です。自己判断で先に買ってしまうと、後から申請しても認められないことがあります。必要になりそうだと分かった時点で相談してください。

受給証明書と各種手続き

生活保護受給証明書

福祉事務所に申請すると、生活保護を受けていることを証明する書類を発行してもらえます。次のような場面で使います。

  • NHK受信料の免除申請
  • 水道料金などの減免申請
  • 粗大ごみ処理手数料の免除申請
  • 各種手数料の減免

減免制度を利用するには、この証明書が必要になることが多いので、覚えておくと便利です。

マイナンバーカード

生活保護を受けていても、通常どおり取得できます。本人確認書類として使えるほか、医療扶助のオンライン資格確認に対応している医療機関では受診時にも使えます。

引っ越し・氏名変更などの手続き

次のような変化があったときは、すみやかに福祉事務所へ届け出る必要があります。

  • 住所が変わったとき
  • 世帯の人数が変わったとき(同居、独立、出生、死亡など)
  • 収入に変動があったとき
  • 入院・退院したとき
  • 就職・退職したとき

他の市区町村へ引っ越す場合は、保護を引き継ぐ手続きが必要です。転居先でも継続して受給できますが、事前に相談することが大切です。無断で転居すると手続きが複雑になります。

生活に必要なものは持てる。壊れたときは事前に相談する。この2点を押さえておけば、日常生活で困ることは多くありません。

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