窓口で断られたときに知っておくこと
生活保護の相談に行ったのに、申請書すら渡してもらえなかった。そうした対応は「水際作戦」と呼ばれ、本来あってはならないものとされています。
厚生労働省の職員向け資料にも、次のように明記されています。
申請書類が整っていないことをもって申請を受け付けない等、法律上認められた保護の申請権を侵害しないことはもとより、侵害していると疑われるような行為も厳に慎むべき
つまり、書類が足りないことを理由に申請を拒むことは認められていません。
まずやるべきこと
相談だけで終わらせず、申請の意思を明確に伝えることが何より重要です。
- 「相談ではなく、生活保護を申請します」とはっきり言う
- 「申請書をください」と求める
- 「不足書類は後日提出しますので、本日付で受け付けてください」と伝える
- 申請書の控えをもらい、受付日を確認する
やり取りの内容や日時、担当者の名前をメモしておくと、後で相談する際に役立ちます。
よく言われる断り文句と、その正しい理解
「まず家族に相談してください」
親族の援助は生活保護を受けるための条件ではありません。法律上、扶養は「保護に優先する」と定められているだけで、「保護の要件」とは明確に区別されています。実際に援助があればその分を収入として扱う、という意味にすぎません。
親族が援助を断っても、それを理由に却下されることはありません。
「まだ働けるでしょう」
働く能力があるかどうかは、年齢だけで判断されるものではありません。病気、障害、介護、育児など、就労が難しい事情があれば、それを具体的に伝えてください。医師の意見が必要になる場合もあります。
また、働いていても収入が最低生活費に届かなければ、その差額について生活保護を利用できます。
「持ち家があると受けられません」
現に住んでいる家は、原則として保有が認められます。処分価値が利用価値に比べて著しく大きい場合を除き、住み続けながら受給できます。
「若いから対象外です」
生活保護に年齢制限はありません。要件を満たしていれば年齢を問わず利用できます。
「住民票がここにないと申請できません」
申請できるのは今実際に住んでいる場所(またはいる場所)を管轄する福祉事務所です。住民票の所在地とは関係ありません。住むところがない状態でも申請できます。
申請に同行してもらえる支援先
一人で窓口に行くのが不安な場合、同行や助言をしてくれる支援先があります。
弁護士・司法書士(法テラス)
収入が一定以下の場合、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助を利用して、無料の法律相談を受けたり、弁護士費用の立替を受けたりできます。生活保護を受給している場合は、立替金の返済が猶予・免除されることもあります。
生活困窮者を支援するNPO・支援団体
全国各地に、生活に困っている方を支援する民間団体があります。申請への同行、書類作成の手伝い、住まいの相談などに応じてもらえることがあります。
民生委員
地域に配置されている民生委員に相談することもできます。福祉事務所への橋渡しをしてもらえる場合があります。
自治体の自立相談支援機関
生活困窮者自立支援制度に基づく相談窓口です。生活保護以外の制度も含めて、どの支援が使えるか整理してもらえます。
却下されたときの不服申立て
申請が却下された場合、その決定に納得できなければ審査請求という手続きで争うことができます。
審査請求の基本
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申立先 | 都道府県知事(通知書の記載を確認してください) |
| 期限 | 処分を知った日の翌日から3か月以内 |
| 費用 | かかりません |
| 結果が出るまで | 原則50日以内(諮問が必要な場合は70日以内) |
期限について、古い解説書やサイトには「60日以内」と書かれていることがありますが、これは法改正前の情報です。現在は3か月以内です。
審査請求書に書くこと
- 審査請求人の氏名・住所
- 対象となる処分(いつ、誰が行った、どの決定か)
- 処分を知った年月日
- 求める内容(例:却下処分を取り消してほしい)
- その理由(なぜ決定が不当だと考えるか)
資料が全部揃っていなくても、まず期限内に提出することを優先してください。詳しい主張や資料は後から補うことができます。
それでも認められない場合
都道府県知事の裁決にも不服がある場合は、厚生労働大臣への再審査請求(裁決を知った日の翌日から1か月以内)や、裁判所への取消訴訟という方法があります。
再申請という方法もあります
審査請求は手続きに時間がかかります。生活が切迫している場合は、あらためて申請し直すのも現実的な選択肢です。
生活保護の申請回数に制限はありません。前回の却下から状況が変わった場合や、前回は伝えきれなかった事情がある場合は、それを踏まえて再度申請できます。
再申請にあたっては、次の点を意識してください。
- 却下通知書に書かれた理由を確認し、その点について説明できるようにする
- 収入や資産の状況を裏付ける資料をできる範囲で用意する
- 働けない事情がある場合は、医師の意見書などを添える
- 可能であれば支援者に同行してもらう
審査請求と再申請は、どちらか一方しか選べないものではありません。並行して進めることもできます。
断られたからといって、そこで終わりではありません。制度は本来、必要な人が使えるようにできています。一人で判断せず、支援先に相談してみてください。
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