書類が揃っていなくても申請できます

「通帳がないと申請できない」「身分証を持ってきてから出直してください」と言われて、諦めてしまう方がいます。しかしこれは正しい対応ではありません

生活保護法には、申請書を作成できない特別な事情があるときや、必要な書類を添えられない特別な事情があるときは、それがなくても申請できるという規定があります。

厚生労働省も明言しています

「生活保護の申請は国民の権利です」
「必要な書類が揃っていなくても申請はできます」

病気や障害で書類を用意できない、住むところがなく荷物を失った、暴力から逃れてきて何も持ち出せなかった。そうした事情があっても申請は可能です。

まず申請を受け付けてもらい、申請日を確定させること。足りない書類は後から提出したり、福祉事務所の調査で補ったりできます。この順番が大切です。

法律上、申請書に書く内容

生活保護の申請書には、法律で次の内容を記載することになっています。

  • 保護を受けたい方の氏名、住所または居所
  • 申請者が本人と異なる場合は、申請者の氏名・住所と本人との関係
  • 保護を受けようとする理由
  • 資産および収入の状況(仕事の状況、求職活動の状況、親族からの援助の状況、年金や手当など他の制度による給付の状況を含む)
  • そのほか、保護の要否や程度を決めるために必要な事項

このほか、性別、生年月日、マイナンバーなども記載事項とされています。ただしマイナンバーカードを持っていない、番号が分からないというだけで申請を断ることはできません

実際に提出を求められる書類

審査を進めるうえで、次のような書類の提出を求められることが多くなります。あれば手続きがスムーズになりますが、揃わなければ申請できないというものではありません

本人・世帯を確認するもの

  • マイナンバーカード、運転免許証、在留カードなど
  • 健康保険の資格確認書
  • 年金手帳、基礎年金番号通知書
  • 障害者手帳

収入に関するもの

  • 給与明細、雇用契約書、源泉徴収票
  • 離職票、雇用保険受給資格者証
  • 年金額改定通知書、年金振込通知書
  • 児童手当、児童扶養手当などの通知書
  • 自営業の場合は帳簿や確定申告書

資産に関するもの

  • 世帯員全員の預貯金通帳(ネット銀行の取引履歴を含む)
  • 生命保険や学資保険の保険証券
  • 不動産の登記事項証明書、固定資産税の通知書
  • 自動車検査証

通帳は残高だけでなく、一定期間の入出金履歴も確認されるのが一般的です。

住まい・健康に関するもの

  • 賃貸借契約書、家賃が分かる書類
  • 電気・ガス・水道の請求書
  • 診察券、お薬手帳、診断書
  • 介護保険被保険者証

診断書は必ず必要?

診断書は、すべての申請者に最初から必須というわけではありません。病気やけがで働けない状況を確認する必要がある場合に、福祉事務所から提出を求められたり、指定の医療機関での受診を案内されたりします。費用の扱いも含めて、窓口で確認してください。

申請書の書き方

申請書の様式は自治体ごとに用意されており、窓口でもらえます。ダウンロードできる自治体もあります。

書き方で迷ったら、窓口で聞きながら記入して問題ありません。読み書きが難しい方、日本語での意思疎通が難しい方については、福祉事務所が申請を援助する義務があると法令で定められています。

申請書のほかに、資産申告書、収入申告書、金融機関などへの調査に同意する書類などを、別紙で求められることが一般的です。

口頭で申請することはできますか

原則は書面での申請ですが、書面を作成できない特別な事情がある場合は口頭での申請も認められます。その場合、福祉事務所が聞き取った内容を書面に記録し、内容を確認したうえで申請として扱います。

ただし後々のトラブルを避けるため、可能であれば書面で申請し、控えに受付日をもらっておくことをおすすめします。電話で「生活が苦しい」と相談しただけでは、申請の意思が明確でないとして申請扱いにならない可能性があります。

本人以外が申請できるか

法律上、申請できるのは次の方です。

  • 本人
  • 扶養義務者(配偶者、親、子、兄弟姉妹など)
  • その他の同居の親族

これらの方は「代理人」ではなく、法律によって独自に申請する権利が認められています。

友人や支援者による代理申請

厚生労働省の考え方では、生活保護を申請するかどうかを判断するのはあくまで本人であるため、一般的な意味での代理申請はなじまないとされています。

ただし、次のことは可能です。

  • 本人に付き添って窓口に同行する
  • 本人の意思表示を補助する
  • 本人が自分の意思で書いた申請書を、代わりに届ける(この場合は「代理」ではなく「使者」として扱われ、申請は有効です)

成年後見人の場合は例外

令和3年の運用改正により、成年後見人による申請は有効なものとして取り扱うことが明確になりました。成年被後見人は判断能力を欠く状況にあり、成年後見人の代理権に保護申請も含まれると解されるためです。

ただし対象は成年被後見人に限られ、被保佐人・被補助人は含まれません。また、本人の同意があることが望ましいとされています。

書類のことで不安があっても、それを理由に申請を諦める必要はありません。まずは窓口で申請の意思を伝えてください。

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