受給中に守るべき4つの義務
生活保護を受けている間は、法律でいくつかの義務が定められています。難しく考える必要はありませんが、知らずに違反してしまうと後で困ることになるため、押さえておきましょう。
1. 生活上の義務
能力に応じて働くこと、健康の保持・増進に努めること、収支の状況を把握して支出の節約を図ること。これらが法律で求められています。
2. 届出の義務
収入や支出に変動があったとき、住む場所や世帯の構成が変わったときは、すみやかに福祉事務所へ届け出る必要があります。これが最も日常的に関わる義務です。
3. 指導・指示に従う義務
福祉事務所から就労指導や生活改善の指示を受けた場合は、それに従うことが求められます。ただし、指示は必要な範囲を超えてはならないとされており、納得できない場合は説明を求めることができます。
4. 調査に応じる義務
年に数回、ケースワーカーによる家庭訪問があります。また、収入や資産の申告を定期的に求められます。
申告が必要なもの・不要なもの
受給中に最も気をつけたいのが収入の申告です。
申告が必要なもの
- 給与、アルバイト代(金額の多少にかかわらず)
- 年金、手当、失業保険
- 親族からの仕送りや援助
- 保険金、給付金
- 不用品の売却代金
- 相続した財産
- 宝くじの当選金
「少額だから」「一時的だから」という理由で申告を省略することはできません。金額の大小は、申告を受けた福祉事務所が判断します。
収入として扱われないことがあるもの
申告は必要ですが、収入として認定されない(保護費が減らされない)ものもあります。
- 自立更生のために使うことが明確な援助や給付
- 出産、就職、結婚、葬祭などの際の祝金・見舞金のうち、社会通念上妥当な範囲のもの
- 災害による補償金・見舞金のうち、生活再建にあてる分
- 高校生のアルバイト代のうち、修学旅行費やクラブ活動費、大学等の受験料・入学金にあてる分
- 自治体独自の障害者・高齢者向け給付のうち月額8,000円以内
いずれも事前に福祉事務所へ相談し、使途を明確にしておくことが前提です。特に高校生の進学費用の積立は、無断で貯めていた場合には認められないことがあります。
働いた分は全部引かれるわけではありません
働いて収入を得ると、その分だけ保護費が減ります。ただし勤労控除という仕組みがあり、収入の一部は差し引きの対象から外されます。
そのため「働いても意味がない」ということはなく、働いた方が世帯全体で使えるお金は増えます。通勤費や社会保険料も実費で控除されます。
貯金はしてはいけない?
これもよくある誤解です。生活保護を受けながら貯金をすること自体は禁止されていません。
「預貯金は最低生活費の◯か月分まで」といった全国一律の上限額も存在しません。判断されるのは金額そのものより、次のような点です。
- そのお金の出どころが、支給された保護費のやり繰りによるものか
- 使う目的が生活保護の趣旨に反していないか
- 目的に照らして金額が妥当か
認められやすい目的としては、家具・家電の買い替え、転居費用、更新料、子どもの入学準備、就労準備の費用などがあります。
一方で、次のような場合は問題になります。
- 保護開始前からあった預貯金を隠していた
- 申告していない収入を貯めていた
- 使う目的がなく、金額も不自然に多い
まとまったお金を貯める予定があるなら、目的と目標額を先にケースワーカーへ伝えておくのが確実です。
クレジットカードやローンは使える?
クレジットカード
法律で明確に禁止されているわけではありませんが、実務上は勧められません。分割払いやリボ払いは実質的な借入にあたり、翌月以降の保護費を先に使うことになるためです。
また、生活保護を受けると信用情報の面から新規発行は難しいのが実情です。
借金
受給中に新たに借金をすることは、原則として認められません。借りたお金は収入として認定される可能性があり、返済に保護費をあてることもできません。
生活が苦しくて借入を考える状況であれば、まずケースワーカーに相談してください。一時扶助など、制度内で対応できる場合があります。
ギャンブル・嗜好品
パチンコや競馬などのギャンブルが法律で禁止されているわけではありません。しかし、生活保護法には「支出の節約を図り、生活の維持及び向上に努めなければならない」という規定があります。
生活費を圧迫するような使い方をしていれば、指導の対象になります。度が過ぎれば保護の停止・廃止につながることもあります。
不正受給になるとどうなるか
収入を隠す、事実と違う申告をするといった行為は不正受給にあたります。この場合の扱いは、単なる返還よりも重くなります。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 費用返還 | 不正でなくても、資力があったのに保護を受けた場合は返還が必要 |
| 不正受給の徴収 | 受け取った額の返還に加えて、最大40%の上乗せが徴収されることがあります |
悪質な場合は詐欺罪に問われる可能性もあります。
うっかり申告を忘れた場合は
意図的でなくても、申告漏れがあれば返還の対象になります。気づいた時点ですぐにケースワーカーへ伝えてください。自分から申し出た場合と、調査で発覚した場合とでは、その後の扱いが変わってきます。
収入や資産の調査は、金融機関や勤務先への照会によって行われます。隠しても分かる仕組みになっているので、正直に申告することが結局は自分を守ることになります。
ルールが多いように感じるかもしれませんが、要点は「変化があったら申告する」ことに尽きます。判断に迷うことは、その都度ケースワーカーに聞けば大丈夫です。
あわせて読みたい