引っ越しが認められるケース

生活保護を受けながら引っ越すことはできます。ただし、転居が必要と認められる事情があることが前提です。

認められやすいのは、次のようなケースです。

  • 家賃が住宅扶助の上限を超えている…むしろ福祉事務所から転居を指導されることがあります
  • 立ち退きを求められた…建物の取り壊し、契約の更新拒絶など
  • 住居が老朽化している…居住に適さない状態
  • 健康上の理由…病気や障害により、階段の上り下りが困難になったなど
  • 世帯構成の変化…出産、同居、独立などで部屋の広さが合わなくなった
  • 就職・転職…通勤が困難な距離である場合
  • 暴力からの避難…DVや犯罪被害を避けるための転居
  • 施設や病院からの退所・退院…新たに住まいを確保する必要がある場合

認められにくいケース

  • 単に今の部屋が気に入らない
  • もっと広い部屋に住みたい
  • 近所付き合いが煩わしい(具体的なトラブルがない場合)

ただし、隣人トラブルや騒音などで生活に支障が出ている場合は、事情を具体的に説明すれば考慮されることがあります。

支給される費用の内訳

転居が認められた場合、次の費用が支給の対象になります。

費用の種類 扱い
敷金、礼金 住宅扶助の一時金として支給
仲介手数料 住宅扶助の一時金として支給
火災保険料 住宅扶助の一時金として支給
保証会社の保証料 住宅扶助の一時金として支給
荷造り費・運搬費 移送費として実費(事前承認が必要)
新居で必要な家具什器 設備の違いで使えない場合は一時扶助の対象

いずれも必要最小限の額が認められます。引っ越し業者については、複数の見積もりを求められるのが一般的です。

家具什器費について

引っ越し先の設備が変わって今までの家具が使えない場合(たとえばガスの種類が違ってコンロが使えない、エアコンが備え付けでなくなった、など)は、一時扶助として購入費が支給されることがあります。

上限は炊事用具や食器などで36,700円(やむを得ない事情がある場合は58,400円)、冷房器具は78,000円の範囲内です。

手続きの流れ

順序が非常に重要です。次のとおり進めてください。

  1. ケースワーカーに相談…転居したい理由を説明し、認められるか確認します
  2. 上限額の確認…転居先の家賃の上限を確認します
  3. 物件を探す…上限内の物件に絞って探します
  4. 見積もりの提出…契約内容、初期費用、引っ越し費用の見積もりを提出します
  5. 福祉事務所の承認…承認を得ます
  6. 契約・引っ越し
  7. 転居後の届出…新住所を届け出ます

審査には時間がかかることがあるため、余裕をもって相談してください。

市外・県外への引っ越し

他の市区町村へ引っ越す場合も、生活保護は継続して受けられます。ただし、担当する福祉事務所が変わるため、引き継ぎの手続きが必要です。

手続きの注意点

  • 転居先の自治体で、あらためて申請する形になります
  • 現在の福祉事務所から転居先へ、状況が引き継がれます
  • 級地が変われば支給額も変わります(都市部から地方へ移ると下がることがあります)
  • 住宅扶助の上限額も、転居先の基準になります

県外転居が認められる理由

県をまたぐ転居は、より具体的な理由が求められます。次のような場合が考えられます。

  • 就職が決まった
  • 家族の介護が必要になった
  • 療養に適した環境が必要
  • 暴力から避難する必要がある
  • 親族の支援が受けられる地域へ移る

単に「別の場所で暮らしたい」という理由では認められにくくなります。

無断で引っ越さないでください

相談せずに転居すると、費用が支給されないだけでなく、保護の継続手続きが滞ることがあります。必ず事前に相談してください。

よくある失敗

先に契約してしまう

最も多い失敗です。良い物件が見つかって焦って契約してしまい、後から費用が出ないと分かるケースです。必ず承認を得てから契約してください。

上限を超える物件を選ぶ

気に入った物件が上限を超えていた、という場合も認められません。差額を自己負担する形も基本的に認められないため、上限額を先に確認しておくことが大切です。

引っ越し業者を自分で決めてしまう

移送費は事前承認が必要です。複数の見積もりを取り、承認を得てから依頼してください。

敷金が戻ってきた場合

退去時に敷金が返還された場合は、収入として申告が必要です。忘れずに届け出てください。

引っ越しは費用も手間もかかります。だからこそ、早めの相談が大切です。転居を考え始めた段階で、まずケースワーカーに話してみてください。

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