この記事でわかること
買い物に使えるようになりました
生活保護では、自動車の保有が例外的に認められる場合があります。そして令和6年12月に、その車の使い道についての取り扱いが変わりました。
それまでは、通勤や通院のために保有を認められた車を、買い物などの目的で使うことは想定されていませんでした。しかし改正により、日常生活に不可欠な買い物などへの利用が認められるようになっています。
ただし、対象者によって扱いが異なるため、そこを正確に押さえておく必要があります。
誰がどこまで使えるのか
障害のある方の場合
障害のある方(お子さんを含む)の通勤・通院などのために保有が認められた車については、日常生活に不可欠な買い物などに行く場合、原則として利用が認められます。
注目すべきは、利用できるのが本人だけではない点です。厚生労働省の通知では、次のように定められています。
障害(児)者又はその家族若しくは常時介護者が障害(児)者のために日常生活に不可欠な買い物等に行く場合についても、社会通念上やむを得ないものとして、原則として自動車の利用を認めて差し支えない。
つまり、家族や常時介護している方が、その障害のある方のために買い物へ行く場合も対象になります。
公共交通機関が使いにくい地域にお住まいの方の場合
こちらは条件が一段慎重になります。日常生活に不可欠な買い物などについて、地域の交通事情や世帯の状況を踏まえ、低所得世帯との均衡を失しないと福祉事務所が認める場合に利用が認められます。
通知では、宅配サービスや移動販売といった代替手段がある場合、近隣に店舗がある場合など、特に支障がないケースも想定される、とされています。地域の実情によって判断が分かれる部分です。
事業用の車の場合
仕事のために保有が認められた車については、上記の2つに当てはまる場合を除き、事業以外の用途に使うことは認められません。
遊興目的の使用について
いずれの場合も、通知には次のように明記されています。
通勤や通院等のために保有が認められた自動車について遊興のため度々使用することは、法第60条の趣旨に照らして望ましくないことはいうまでもない。
生活保護法には「支出の節約を図り、生活の維持及び向上に努めなければならない」という規定があります。レジャー目的での頻繁な使用は、この趣旨に反すると考えられています。
他人名義の車を借りて乗る場合
「自分の名義でなければ問題ないのでは」と考える方がいますが、これは注意が必要です。
生活保護で問題になるのは、名義そのものより実質的に使用・保有しているかどうかです。名義が親族であっても、日常的に自分が使っているのであれば、保有していると判断される可能性があります。
一時的に借りる場合
親族の車に同乗する、たまに借りるといった程度であれば、通常は問題になりません。ただし、次のような状態が続く場合は説明を求められることがあります。
- 日常的に自分だけが使っている
- 駐車場を自分が借りている
- ガソリン代や維持費を自分が負担している
隠すとどうなるか
車の保有状況は、資産調査によって確認されます。申告せずに保有していた場合、保護費の返還を求められることがあります。意図的に隠していたと判断されれば、不正受給として最大40%の上乗せ徴収の対象になることもあります。
迷ったら、まず正直に相談してください。認められる可能性があるケースを、自己判断で諦めてしまうのはもったいないことです。
原付・バイクの扱い
原動機付自転車(原付)やバイクについても、基本的な考え方は自動車と同じです。処分価値や維持費、そして必要性から判断されます。
ただし実務上、原付は自動車より認められやすい傾向があります。理由は次のとおりです。
- 処分価値が小さい
- 維持費(税金、保険、燃料費)が自動車に比べて低い
- 駐車場代がかからないことが多い
通勤や通院に必要で、公共交通機関では対応が難しい場合には、保有が認められることがあります。
大型バイクの場合
排気量の大きいバイクは、処分価値が高くなりやすく、また趣味性が高いとみなされることもあるため、認められにくくなります。
自転車は問題ありません
自転車については、通常の生活用品として保有が認められます。特別な手続きは必要ありません。電動アシスト自転車も、一般的な価格帯のものであれば問題になりにくいでしょう。
運転免許の取得・更新
更新について
すでに持っている運転免許を更新することは、特に問題ありません。更新手数料は毎月の生活費から支出することになります。
新たに取得する場合
就労のために運転免許が必要な場合、技能修得費として取得費用が支給されることがあります。上限は92,000円以内です。
対象になるのは、次のような場合です。
- 運転免許があることで就職の可能性が高まる
- すでに内定があり、免許が就業の条件になっている
- 地域の求人状況から、免許が実質的に必須である
「持っておくと便利だから」という理由では認められません。就労にどう結びつくかを具体的に説明できることが必要です。
また、必ず教習所に申し込む前に相談してください。自分で申し込んで支払ってしまうと、支給されないことがあります。
車に関するルールは、地域の事情や個別の状況によって判断が分かれます。困っていることがあれば、まずケースワーカーに具体的に相談してみてください。