この記事でわかること
生活保護を受けられる条件は2つだけ
生活保護の受給条件は、実はとてもシンプルです。法律が定めているのは、次の2点に集約されます。
- 世帯の収入が「最低生活費」を下回っていること
- 利用できる資産や能力を活用してもなお、生活が成り立たないこと
年齢、性別、国籍、なぜ困窮したのかといった事情は、条件には含まれていません。
生活保護法には「無差別平等の原理」があり、困窮に至った理由によって差別されないことが定められています。借金が原因でも、離職が原因でも、判断に迷った結果でも、扱いは変わりません。
収入が最低生活費を下回っていること
最も重要な判断基準です。「最低生活費」とは、国が定めたその世帯が最低限の生活を送るために必要な金額のことです。
計算はシンプルです。
最低生活費 - 世帯の収入 = 支給される生活保護費
収入が最低生活費を下回っていれば、その差額が支給されます。収入がまったくなければ、最低生活費の全額が支給されます。
最低生活費はいくら?
金額は住んでいる地域と世帯の人数、年齢によって変わります。全国一律ではありません。
目安として、単身世帯の生活扶助(日常の生活費にあたる部分)は次のとおりです。
| 級地区分 | 地域のイメージ | 生活扶助 |
|---|---|---|
| 1級地-1 | 東京23区など | 76,220円 |
| 2級地-1 | 県庁所在地クラス | 72,930円 |
| 3級地-2 | 町村部 | 68,240円 |
これに家賃分(住宅扶助)が加わります。単身の場合の上限は、おおむね月2万2千円台から5万3千円台です。
つまり、賃貸住宅にお住まいの単身の方であれば、最低生活費はおおむね月9万円台から13万円程度になります。この金額を収入が下回っていれば、対象になる可能性があります。
お住まいの市区町村ごとの正確な金額は、お住まいの地域のページで確認できます。
収入に含まれるもの
- 給与、アルバイト代
- 年金(老齢・障害・遺族)
- 手当(児童手当、児童扶養手当など)
- 失業保険、傷病手当金
- 親族からの仕送り
これらを受け取っていても、合計額が最低生活費に届かなければ申請できます。年金や手当があるから対象外、ということはありません。
資産を活用してもなお足りないこと
生活保護には「補足性の原理」があり、利用できる資産は活用したうえで、なお足りない分を補うという考え方が基本です。
ただし、これは「持っているものを全部手放せ」という意味ではありません。
手放さなくてよいもの
- 現に住んでいる家(処分価値が著しく大きい場合を除く)
- 日常生活に必要な家具・家電(冷蔵庫、洗濯機、エアコン、テレビなど)
- スマートフォン、パソコン
- 処分価値の小さい趣味の品
活用が求められるもの
- 使っていない不動産(別荘、空き家、利用していない土地)
- 換金価値の高い貴金属、有価証券
- 解約返戻金の大きい生命保険
- 自動車(一定の要件を満たせば例外的に保有できます)
預貯金はいくらまで?
「◯万円まで」という全国一律の基準はありません。
申請時については、最低生活費(医療扶助・介護扶助を除く)のおおむね5割までを、当面の生活費として配慮する取り扱いがあります。
つまり、所持金がゼロになるまで待つ必要はありません。生活が立ち行かなくなりそうな段階で相談して構いません。
能力の活用について
働ける状態にある方は、その能力を活用することが求められます。ただしこれは「働いていたら申請できない」という意味ではありません。
働いていても、収入が最低生活費に届かなければ差額を受給できます。また、病気や障害、育児、介護などで働くことが難しい場合は、能力を活用していないとは判断されません。
よくある誤解(条件ではないもの)
窓口で言われがちなことのうち、実際には受給の条件ではないものを整理します。
親族の援助
これが最大の誤解です。法律上、資産や能力の活用は保護の「要件」とされていますが、親族の扶養は「保護に優先する」と規定されており、両者は明確に区別されています。
厚生労働省の通知にも「扶養義務者による扶養の可否等が、保護の要否の判定に影響を及ぼすものではなく」と明記されています。
親族が援助を断っても、生活保護は受けられます。
持ち家がないこと
現に住んでいる家は、原則として保有が認められます。住み続けながら受給できます。
住民票があること
今実際にいる場所を管轄する福祉事務所で申請できます。住民票の所在地は問われず、住むところがない状態でも申請できます。
年齢
生活保護に年齢制限はありません。
他の制度をすべて試したこと
他の制度が優先されるのは事実ですが、「全部試してからでないと申請できない」わけではありません。急を要する状況であれば、直接申請して構いません。
外国籍の方の場合
この点は、正確な理解が必要です。
生活保護法は、その第1条において日本国民を対象とする法律と位置づけられています。そのため、外国籍の方は法律上の適用対象とはされていません。
ただし、昭和29年の厚生省通知により、一定の在留資格を持つ方については、日本国民に対する取り扱いに準じて保護が行われています。これを「準用」といいます。
対象となる在留資格
活動に制限のない在留資格を持つ方が対象とされています。具体的には、永住者、定住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、および特別永住者の方などです。
一方、就労や活動に制限のある在留資格(留学、技能実習、短期滞在など)の方は、対象になりません。
日本国民との違い
準用による保護は、法律上の権利として保障されたものではなく、行政上の措置として行われているものと位置づけられています。
この違いから、決定に不服がある場合の審査請求はできないとされています。日本国民の場合は法律上の権利として審査請求が認められているため、この点が大きく異なります。
実際の支給内容や基準額については、日本国民と同様の取り扱いがなされます。
手続きについて
申請の際には、在留カードまたは特別永住者証明書の提示が求められます。
在留資格や状況によって扱いが変わるため、まずはお住まいの福祉事務所に相談してください。
却下されるのはどんなとき?
申請が認められないのは、主に次のような場合です。
- 収入が最低生活費を上回っている…最も基本的な理由です
- 活用できる資産がある…売却できる不動産や、多額の預貯金がある場合
- 調査に協力が得られない…資産や収入の調査に必要な同意が得られない場合
却下されたときは
決定に納得できない場合は、審査請求という不服申立てができます。処分を知った日の翌日から3か月以内に、都道府県知事に対して行います。費用はかかりません。
また、状況が変わった場合や、前回伝えきれなかった事情がある場合は、あらためて申請することもできます。申請回数に制限はありません。
口頭で断られた場合
窓口で「無理です」と言われただけでは、正式な決定ではありません。書類が揃っていないことを理由に申請を受け付けない対応は、認められていないものです。
申請の意思をはっきり伝え、書面での決定を求めてください。それでも難しい場合は、支援団体や法テラスに相談してみてください。
条件は「収入」と「資産」の2点です。当てはまりそうだと感じたら、まずは窓口で相談してみてください。
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