この記事でわかること
介護扶助とは
介護が必要な方が介護サービスを利用するための扶助です。医療扶助と同じく現物給付という方式で、費用は福祉事務所から介護事業者へ直接支払われます。そのため自己負担は原則としてかかりません。
厚生労働省の説明でも、介護扶助について「費用は直接介護事業者へ支払、本人負担なし」と明記されています。
対象になる方
要介護認定または要支援認定を受けた方が対象です。認定を受けていない場合は、まず認定の申請から始めることになります。
介護保険との関係
ここが少し複雑なので、年齢と保険加入の状況で分けて説明します。
65歳以上の方
生活保護を受けていても、介護保険の第1号被保険者になります。そのため、まず介護保険からサービス費用の大部分(原則9割)が支払われます。
残る自己負担分(原則1割)を介護扶助が負担するため、結果として本人の負担はありません。
40歳から64歳の方
この年代は、医療保険に加入しているかどうかで扱いが変わります。
- 会社の健康保険などに加入している場合…介護保険の第2号被保険者となり、65歳以上と同じ仕組みになります
- 医療保険に加入していない場合…生活保護を受けると国民健康保険から外れるため、介護保険の被保険者になりません。この場合、特定の疾病により介護が必要になったときは、費用の全額が介護扶助でまかなわれます
39歳以下の方
介護保険の対象年齢ではないため、介護保険は使えません。障害福祉サービスなど、別の制度の利用を検討することになります。
対象になるサービス
介護保険で使えるサービスとほぼ同じ範囲がカバーされます。
自宅で受けるサービス
- 訪問介護(ホームヘルプ)
- 訪問入浴介護
- 訪問看護
- 訪問リハビリテーション
- 居宅療養管理指導
- 夜間対応型訪問介護
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
通って受けるサービス
- 通所介護(デイサービス)
- 通所リハビリテーション(デイケア)
- 認知症対応型通所介護
- 小規模多機能型居宅介護
泊まりのサービス
- 短期入所生活介護(ショートステイ)
- 短期入所療養介護
その他
- 福祉用具…車いす、介護ベッド、歩行器などの貸与・購入
- 住宅改修…手すりの取り付け、段差の解消、扉の交換など
- 施設介護…特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院
- 移送…通所や入退所のために必要な交通費(要件あり)
住宅改修と福祉用具は事前承認が必要です
手すりの設置などの住宅改修や、福祉用具の購入は、工事や購入の前に福祉事務所と介護保険の保険者から承認を得る必要があります。自己判断で先に工事してしまうと、費用が支給されないことがあります。
介護保険料はどうなる?
ここは誤解が多い点です。介護保険料が免除されるわけではありません。
65歳以上の方は生活保護を受けていても介護保険の被保険者であり、保険料は賦課されます。ただし、次の仕組みによって実質的な負担は生じません。
- 年金から天引きされる場合…収入認定の際に調整されます
- 自分で納付する場合…生活扶助に「介護保険料加算」として上乗せされ、その分で納付します
保険料の段階も、最も低い区分が適用されるのが一般的です。
施設に入る場合
特別養護老人ホームなどの介護保険施設に入所する場合も、介護扶助が適用されます。
費用の内訳に注意
施設で発生する費用のすべてが介護扶助でまかなわれるわけではありません。
- 介護サービス費…介護扶助の対象
- 食費・居住費…負担限度額認定を受けたうえで、生活扶助などで対応
- 理美容代、日用品費、レクリエーション費など…原則として自己負担
施設に入所すると、在宅時とは生活扶助の計算方法も変わります(介護施設入所者基本生活費という別の基準が適用されます)。
入所前に確認を
費用の内訳は施設の種類や自治体によって扱いが異なります。入所を検討する段階で、ケースワーカー・ケアマネジャー・施設の三者に確認しておくと安心です。
利用するときの手続き
おおまかな流れは次のとおりです。
- 要介護認定の申請…市区町村の窓口へ。福祉事務所にも相談してください
- 認定調査・審査…訪問調査と主治医意見書をもとに要介護度が決まります
- ケアプランの作成…ケアマネジャーが利用するサービスを計画します
- 介護券の発行…福祉事務所が事業者へ介護券を発行します
- サービスの利用開始
ケアマネジャーとケースワーカーの連携
介護サービスの調整はケアマネジャー、生活保護に関することはケースワーカーが担当します。両者が連携して進めるため、どちらか一方だけに相談するのではなく、両方に状況を伝えることが大切です。
指定介護機関を利用します
医療扶助と同じく、原則として生活保護法の指定を受けた介護事業者を利用します。希望する事業者が指定を受けているかどうかは、福祉事務所やケアマネジャーに確認してください。
介護が必要になると、本人だけでなく家族の負担も大きくなります。費用の心配でサービスの利用をためらう必要はありません。まずはケースワーカーに相談してみてください。
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