住宅扶助とは

生活保護には8種類の扶助があり、そのうち家賃にあてるためのものが「住宅扶助」です。

日常の生活費にあたる「生活扶助」とは別枠で支給されるため、生活費を削って家賃を払う必要はありません。

生活扶助(日々の生活費)+ 住宅扶助(家賃)= 最低生活費の中心部分

対象になる費用

  • 家賃、間代
  • 地代
  • 住宅の補修費、維持費
  • 転居時の敷金、礼金、仲介手数料、火災保険料、保証料

なお、駐車場代や共益費の一部など、家賃以外の費用は対象外となる場合があります。契約内容によって扱いが変わるため、福祉事務所に確認してください。

実費が支給されます

住宅扶助は、上限額の範囲内で実際の家賃が支給される仕組みです。上限が5万円の地域で家賃が4万円なら、支給されるのは4万円です。差額が手元に残るわけではありません。

家賃の上限はいくら?

住宅扶助には上限額(基準額)が定められています。金額は都道府県ごと、そして世帯人数ごとに決まっています。

全国の状況を見ると、単身世帯の上限額はおおむね次の範囲に収まっています。

世帯人数 上限額のおおよその範囲
1人 月2万2千円台 〜 5万3千円台
2人 月2万6千円台 〜 6万4千円台
3〜5人 月2万9千円台 〜 6万9千円台

大都市部ほど高く、地方ほど低く設定されています。

お住まいの市区町村の正確な上限額は、お住まいの地域のページで確認できます。物件を探す前に、必ずご自身の上限額を把握しておいてください。

上限額の決まり方

ここは誤解が生じやすい部分なので、丁寧に説明します。

生活扶助の金額は「級地区分」(全国を6段階に分けたランク)によって決まります。しかし住宅扶助の上限額は、級地だけでは決まりません

実際には都道府県ごとに基準が定められており、さらに政令指定都市や中核市には別の設定があるという仕組みです。

そのため、同じ級地の市であっても、都道府県が違えば上限額が1万円以上異なることがあります。「1級地だから◯万円」という単純な対応にはなっていません。

世帯人数によっても変わります

世帯の人数が増えれば、必要な部屋の広さも変わるため、上限額も上がります。ただし人数に比例して上がるわけではなく、3人から5人までは同じ上限額が適用されるのが一般的です。

上限を超える家に住んでいる場合

今住んでいる家の家賃が上限を超えている、という状況はよくあります。この場合の扱いを整理します。

原則は転居の指導

上限を超える家賃の物件に住んでいる場合、上限内の住居への転居を指導されるのが原則です。

転居が必要と認められれば、敷金・礼金などの初期費用や引っ越し費用(移送費)が支給されます。自己負担で引っ越すわけではありません。

差額を自己負担するのは認められません

「超えた分は生活費から出すので、今の家に住み続けたい」と考える方がいますが、これは基本的に認められません。

理由は明確です。生活扶助は日々の生活に必要な最低限の金額として算定されているため、そこから家賃を捻出すると最低限度の生活が維持できなくなるからです。

ただし事情は考慮されます

とはいえ、機械的に転居させられるわけではありません。次のような事情があれば、考慮される場合があります。

  • 高齢や病気で転居が身体的に困難
  • 障害があり、住居に必要な設備が整っている
  • 通院している医療機関との距離
  • 子どもの通学の事情
  • 近隣に転居先となる適切な物件がない

該当する事情があれば、具体的に説明してください。

上限が引き上げられるケース

一定の事情がある場合、通常の上限額を超える家賃が認められることがあります。これを特別基準といいます。

認められることがあるのは、次のような場合です。

  • 障害がある方…車椅子の使用などで、通常より広い居室や設備が必要な場合
  • 高齢の方…階段のない住居や、バリアフリー設備が必要な場合
  • 病気療養中の方…療養のために特別な環境が必要な場合
  • 世帯人数が多い場合…通常の広さでは生活が困難な場合

いずれも自動的に適用されるものではなく、個別の事情を福祉事務所が判断します。該当しそうな場合は、物件を探す前に相談してください。

持ち家の場合はどうなる?

持ち家に住んでいる場合、家賃が発生しないため住宅扶助は原則として支給されません

ただし、次のような費用は対象になることがあります。

  • 住宅の補修費・維持費…雨漏りの修理など、居住に必要な補修(年間の上限額が定められています)
  • 地代…借地に建てている場合

持ち家があっても受給できます

誤解されやすい点ですが、持ち家があること自体は生活保護の妨げになりません。現に住んでいる家は、処分価値が利用価値に比べて著しく大きい場合を除き、保有が認められます。

住宅ローンが残っている場合は注意

ローン返済中の住宅については、保護費からローンを返済することになってしまうため、原則として保護の適用は難しいとされています。

住宅扶助は家賃や地代にあてるためのもので、ローンの元金返済を公費で行う制度ではないためです。

残債の状況や売却の可能性によって判断が変わることもあるため、該当する場合は詳しく相談してください。

家賃が代理で支払われる仕組み

最後に補足です。住宅扶助には代理納付という仕組みがあります。これは家賃を受給者本人を経由せず、福祉事務所から直接大家さんや管理会社へ支払う方式です。

滞納の心配がなくなるため、賃貸契約の審査で有利に働くことがあります。詳しくは福祉事務所に確認してください。

住まいは生活の土台です。家賃の負担で困っている場合、住宅扶助によって状況が大きく改善することがあります。まずは相談してみてください。

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