原則として車は持てません
生活保護を受ける場合、自動車の保有は原則として認められません。処分して生活費にあてることが求められます。
ただし、これには例外があります。一定の条件を満たせば、車を持ったまま生活保護を受けることができます。
「車があるから申請できない」と諦めてしまう方がいますが、事情によっては認められる可能性があります。まずは相談する価値があります。
なぜ認められないのか
理由は主に3つあります。
- 換金価値がある…売却すれば生活費にあてられる資産とみなされます
- 維持費がかかり続ける…税金、保険料、車検、燃料費、駐車場代など、継続的な出費が生じます
- 事故のリスクがある…万が一事故を起こした場合、多額の賠償責任を負う可能性があります
特に2つ目が重要です。生活保護費は最低限度の生活を営むための金額として算定されているため、そこから車の維持費を捻出すると、生活そのものが成り立たなくなってしまいます。
通勤に使う場合
仕事に行くために車が必要な場合、次のいずれかに当てはまれば保有が認められることがあります。
- 障害のある方が、自動車で通勤する場合
- 公共交通機関の利用が著しく困難な地域に住んでいる方が、自動車で通勤する場合
- 勤務先が、公共交通機関の利用が著しく困難な地域にある場合
- 深夜勤務など、勤務時間の関係で公共交通機関が使えない場合
あわせて求められる条件
上記に当てはまるだけでなく、おおむね次の条件も満たす必要があります。
- 世帯の状況や地域の事情から、自動車通勤がやむを得ないこと
- その仕事が世帯の自立に役立っていること
- 地域の自動車の普及状況からみて、車を持たない低所得世帯との均衡を失しないこと
- 車の処分価値が小さいこと
- 就労収入が、車の維持費を大きく上回っていること
- 原則として本人が運転すること
特に最後から2番目が重要です。「車を維持するために働いている」という状態は想定されていません。
今は働いていない場合
失業中や療養中で一時的に通勤していない場合でも、おおむね6か月以内に就労して保護から抜けられる見込みが確実であり、車の処分価値が小さければ、すぐに処分させずに保有を認める余地があります。
6か月を過ぎても、就労に向けて具体的に活動している場合は、期間が延長されることもあります。
通院・通所・通学に使う場合
次の場合に、車の保有が認められることがあります。
- 障害のある方(お子さんを含む)が、通院・通所・通学のために車を必要とする場合
- 公共交通機関の利用が著しく困難な地域に住む方が、通院などのために車を必要とする場合
求められる条件
おおむね次のすべてを満たす必要があります。
- 継続的・定期的な利用であること(単発の通院では認められにくくなります)
- 代替手段がないこと…公共交通機関、福祉タクシー、自治体の送迎サービス、医療機関の送迎、親族による送迎などが利用できないこと
- 処分価値が小さく、必要最小限の車であること(排気量はおおむね2,000cc以下)
- 維持費を確実にまかなえる見込みがあること
- 本人や生計を同じくする方など、適切な方が運転すること
維持費の財源が重要です
通院用の場合、維持費については次のような確実な財源が求められます。
- 維持費にあてることを明確にした親族などからの援助
- 障害福祉制度など、他の制度による給付
- 認められた収入
保護費から生活を削って車検代や税金を払う前提での保有は、認められにくくなります。
公共交通機関がない地域の場合
「田舎だから車がないと生活できない」という声はよく聞かれます。ただし、それだけで自動的に認められるわけではありません。
判断されるのは、次のような点を総合したものです。
- 自宅から駅やバス停までの距離
- バスや鉄道の運行本数
- 始発・終電の時刻と勤務時間の関係
- 本人の歩行能力、健康状態
- 通院の頻度
- 積雪など、季節的な事情
- 自治体の送迎サービスの有無
- タクシー利用と比べたときの費用
- 転居によって解決できないか
- 車の処分価値と維持費
「不便だから」ではなく、「その車がないと生活が成り立たない」ことを具体的に説明できるかが分かれ目になります。
相談するときのポイント
正直に申告してください
車の保有状況は資産調査で判明します。申告せずに保有していた場合、保護費の返還を求められます。意図的に隠していたと判断されれば、不正受給として最大40%の上乗せ徴収の対象になることもあります。
名義を家族にしている場合も、実質的に自分が使っているのであれば保有とみなされる可能性があります。
具体的に説明する
相談の際は、次のような情報を整理して伝えてください。
- 車種、年式、走行距離(処分価値の判断に関わります)
- 何のために使っているか(通勤、通院など)
- 使用頻度
- 公共交通機関で代替できない具体的な理由
- 年間の維持費と、その財源
- 就労収入がある場合はその金額
認められた場合の使い道について
なお、保有が認められた車をどこまで使えるかについては、令和6年12月に取り扱いが変わりました。障害のある方などについては、日常生活に不可欠な買い物などへの利用が認められるようになっています。この点は車の利用ルールで詳しく解説しています。
手放す判断も選択肢です
維持費が生活を圧迫するようであれば、手放して公共交通機関や福祉タクシー、自治体の移動支援を使う方が、結果的に生活が安定することもあります。
年間の維持費を書き出したうえで、現実的に判断してください。
車が必要かどうかは、地域や健康状態によって大きく変わります。自己判断で諦めず、まずは事情を具体的に伝えて相談してみてください。
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