生活保護の生業扶助(生業費、技能習得費、就職支度費)について説明します

生業扶助とは

 

生活保護で受けられる扶助の1つである生業扶助。他の扶助に比べて、生業扶助は最低限度の生活を送ることが目的ではありません。社会に出て働いたり、学校に通ったりして自立を促し、収入を増やすための扶助です。

 

生業扶助では主に4つの費用を負担してもらうことができます。

  • 生業費
  • 技能習得費
  • 就職支度費
  • 高等学校等就学費

上記の費用を必要な時に現金で支給してもらうことができ、対象は生活保護を受けていなくてもそれに近い経済状況の世帯となっているようです。

 

ただし、実際は生活保護受給者が受ける扶助として活用されています。

生業扶助の申請には受給証明書が必要

それぞれの費用に関して1つずつ申請をしなくてはいけません。

 

ただ、難しいことは基本的に担当のケースワーカーに相談すると教えてくれます。できないことがあれば手伝ってもらえますし、まずはどんな理由でどの費用が必要なのか相談するといいでしょう。

 

申請には下記の3点は必要になります。

  • 申請書
  • 生活保護受給証明書
  • 振込先口座の通帳のコピー

生活保護受給証明書は代わりに生業扶助受給証明書でも可能です。もし手元になければどちらも福祉事務所で発行してもらえるので、あらかじめ準備しておくといいかもしれません。

生業扶助の中の生業費とは

 

小規模の事業を始めて、生計を維持しようとする場合に扶助してもらうというのが生業費です。

 

申請が通れば、起業したり事業を維持していったりするのに必要となる資金を出してもらえます。自分以外の人と共同で起業したりする場合も対象となるようです。

 

また、起業や事業の維持は

  • 商店や飲食店
  • サービス業
  • 製造・加工業
  • 修理業

などが対象で、原則として45,000円以内の支給となります。どうしても足りないという場合は、事情によって75,000円まで引き上げることができますが、それが通るかは実際に相談してみないとわかりません。

 

起業することは簡単なことではなく、うまくいく保証もないので、入念な計画を立てて申請する必要があるでしょう。同じ世帯から2名以上が生業費の申請をすることも可能ですが、起業することのリスクから申請が通らないことの方が多いと考えておいた方がいいです。

技能習得費を有効活用しよう

 

生活保護受給者が就職するために、必要な資格を取ったり勉強したりする費用を出してもらうというのが技能習得費です。学校や資格講座に通うならその授業料や教材費を負担してもらえますし、あとは職に就くための訓練費や資格検定費なども対象となっています。

 

就職に必要なものは殆どが対象で、例えば運転免許の更新も、通勤や仕事で使うなら技能習得費に含まれるようです。それから現代では、パソコンが使えないとできない仕事も増えてきていますし、パソコン教室に通ったりする費用も支給されます。

 

驚くのが、社会人としてのマナーやコミュニケーション方法を学ぶ講座やセミナーの費用も対象となることです。もしかしたらこれはダメかも?と思うものでも認められるかもしれないので、まずはケースワーカーに相談してみてください。

 

上限金額は、原則1年以内の期間で77,000円までとされていますが、認められれば2年間同じ上限金額を支給してもらうことができます。事情によってはもう少し金額が上乗せされることもあるようですが、やむを得ない場合のみとなっているのでご注意ください。

 

また、自立支援の訓練などに参加する場合は204,000円まで、学校に通ったり運転免許を取得したりする場合は380,000円まで支給可能です。

 

自分が必要な金額はいくらなのか把握してから申請してみましょう。

就職支度費とは一体なに?

 

「せっかく就職が決まったけどスーツや靴などの必要物品が買えない…」

 

なんてことがないように、就職確定後は就職支度費を現金支給してもらうことができます。ただし支給してもらうには、社会保険に加入するという条件を満たしていなくてはいけません。

 

就職支度費を支給してもらうには、申請書と領収書の提出をすればOKです。就職時にすぐ必要なものもあるでしょう。その場合はいくら必要なのか見積もりを出して、購入前にお金を支給してもらうことが可能ですが、購入後に領収書を提出する必要があります。

 

支給金額は29,000円以内で、それよりもかからない場合は必要な額の支給、それ以上にかかった場合、超過した額は自己負担ということになっています。

高等学校等就学費で教育機会を増やす

 

以前は生活保護を受けていると高校に通うのにも苦労していましたが、現在は高校にかかる費用をできるだけ支給することで、教育の機会を増やそうという扶助が受けられます。

 

支給対象となる項目は以下の9つです。

  1. 基本額
  2. 教科書などの教材代
  3. 授業料
  4. 入学費や入学試験料
  5. 通学にかかる交通費
  6. 学習支援費
  7. 学級費、生徒会費、PTA会費等
  8. 入学準備費用
  9. 不可抗力で再購入する場合の学用品代

対象となる学校は

  • 国公立の定時制や通信制も含めた高校
  • 中高一貫校の高校にあたる課程
  • 高等専門学校

など、高校と認められるところです。専修学校は3年以上通うこと、授業を800時間以上受けることが条件となっています。

 

生活保護受給者が中卒などの状態であっても、高校卒業をすることで自立ができると見込まれる場合はこの扶助を活用することが可能です。

 

申請が通れば必要な金額が支給されることになっていますが、通学のためにバスや電車などを利用する場合は数か月分の交通費が一度に支給されるので定期券を購入することができます。

 

注意が必要なのは留年してしまうことです。留年するとその分は費用が支給されないため、学校を卒業できないまま中途退学しなくてはいけないことになります。

 

支給金額は

  • 基本額が5,450円
  • 学級費は1,960円
  • 学習支援費は5,150円
  • 入学準備費用は63,200円(制服代などを含む)

で、教材代や入学費、入学試験料、授業料は必要な金額となっています。通学にかかる交通費は必要最低限の金額なので、一番安く済む定期券の購入などを検討しなくてはいけません。

 

また、入学試験料は1回分のみ支給されるのですが、併願分は支給されませんので注意しておきましょう。

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