年金をもらいながら受けられます
「年金を受け取っているから生活保護は無理」と思っている方が多いのですが、これは誤解です。
年金を受給しながら生活保護を利用することはできます。実際、生活保護を受けている高齢者世帯の多くが、年金を受け取りながら不足分の支給を受けています。
仕組みはシンプルです。
最低生活費 - 年金額 = 支給される生活保護費
年金は収入として扱われ、最低生活費に足りない分が支給されます。年金と生活保護費を両方まるごと受け取れるわけではありませんが、年金だけの状態より生活は安定します。
年金の申請が先になることがあります
年金を受け取れる資格があるのに手続きをしていない場合、まず年金を請求するよう案内されます。これは「他の制度が使えるならそちらを優先する」という生活保護の原則によるものです。
手続きが分からない場合は、福祉事務所や年金事務所で相談できます。
いくら年金があると対象外になる?
「年金が月◯万円以上だと受けられない」という一律の基準はありません。最低生活費との比較で決まるためです。
最低生活費は、住んでいる地域(級地)と世帯の人数、年齢によって変わります。単身世帯の場合、生活扶助の基準額は次のとおりです。
| 級地区分 | 生活扶助(月額) |
|---|---|
| 1級地-1 | 76,220円 |
| 2級地-1 | 72,930円 |
| 3級地-2 | 68,240円 |
これに家賃分(住宅扶助)が加わります。単身の場合、家賃の上限はおおむね月2万2千円台から5万3千円台です。
つまり単身の最低生活費は、家賃を含めるとおおむね月9万円台から13万円程度になります。年金がこれを下回っていれば、差額を受給できる可能性があります。
国民年金だけの場合、満額でも月7万円弱です。家賃を払っている方であれば、対象になる可能性は十分あります。
持ち家か賃貸かで変わります
持ち家で家賃がかからない場合、住宅扶助は原則として支給されません。そのため最低生活費は生活扶助分が中心となり、賃貸の方より低くなります。
正確な金額は、お住まいの地域のページで確認できます。
障害年金・遺族年金の場合
老齢年金だけでなく、障害年金や遺族年金を受けている場合も同じ考え方です。これらも収入として扱われ、最低生活費に足りない分が支給されます。
障害年金を受けている場合
障害年金を受けている方は、障害者加算の対象になる可能性があります。加算がつくと最低生活費が上がるため、その分だけ受給できる金額も増えます。
障害基礎年金1級に相当する方であれば、在宅で1級地の場合に月27,460円、2級に相当する方であれば月18,300円の加算です(級地により変動します)。
遺族年金を受けている場合
遺族年金も収入として扱われます。子どもを育てている場合は母子加算の対象になることがあり、その分最低生活費が上がります。
無年金・年金が少ない場合
年金を受け取っていない、あるいは非常に少ないという方も、生活保護の対象になります。
保険料を納めていなかったことを理由に、生活保護を断られることはありません。生活保護法には「困窮に至った理由は問わない」という無差別平等の原理があります。
年金保険料の免除について
生活保護(生活扶助)を受けると、国民年金保険料は法定免除になります。申請して認められる免除ではなく、法律上当然に免除される仕組みです。ただし届出は必要です。
免除された期間は年金の受給資格期間に算入されますが、将来受け取る年金額は全額納付した場合より少なくなります。
なお、受給権を得るためにあえて保険料を納付したいという場合、その保険料は必要経費として認められることがあります。年金を受け取れるようになるかどうかは大きな違いなので、該当しそうな方はケースワーカーに相談してみてください。
親の年金が少なくて心配なとき
離れて暮らす親の年金が少なく、生活が心配だという相談も多くあります。
親自身が申請します
生活保護は世帯単位で判断されるため、親が単身または夫婦で暮らしているなら、その世帯として申請することになります。子どもの収入は関係ありません。
申請は本人が行うのが原則ですが、扶養義務者である子どもが申請することも法律上認められています。本人が高齢で手続きが難しい場合は、同行して手伝うこともできます。
子どもに援助義務はあるのか
民法上、直系血族には扶養義務があります。しかし生活保護を受けるための条件ではありません。
扶養照会が行われることはありますが、援助できるかどうかは各自の生活状況によります。援助が難しければ、その旨を回答すれば問題ありません。それによって親が生活保護を受けられなくなることはありません。
また、扶養義務者が「おおむね70歳以上の高齢者」である場合は、そもそも照会を控える対象として例示されています。
同居している場合
親と同居していて生計を共にしている場合は、同一世帯として判断されます。世帯全体の収入が最低生活費を下回っていれば、世帯として受給できます。
年金が少ないことを恥じる必要はありません。年金と生活保護を組み合わせて生活を安定させることは、制度が想定している使い方です。
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