生活保護を受給中でも結婚は可能?
「生活保護を受けているから結婚はできない」ということはありません。相手と話し合うなどして、今後の生活の見通しが立つのであれば問題なく結婚できます。
生活保護というのは、人として最低限度の生活を保障するための制度であり、
結婚を妨げるものではありません。
ただし、結婚して夫婦となれば同じ世帯という扱いになるため、収入に影響することは考えられるでしょう。
世帯を単位として生活の状況が確認されるので、収入が多くなれば支給額が減ったり、一部では支給の打ち切りが行われ生活保護を受けられなくなるケースや、再申請の手続き等が必要になる可能性があります。
結婚相手が生活保護受給者でない場合はどうなる?
自分だけが生活保護を受けているケースで、ある程度の収入を得ている人と結婚した際、2つのパターンが想定されます。
- 生活保護の受給停止をする
- 結婚相手も生活保護を受給する
生活保護は世帯ごとに申請し、受給するものなので、結婚相手だけは受給しないという選択肢はありません。そのため、どちらかがもう片方に合わせる形となります。
例えば、生活保護を受給していた女性が、高額な収入を得ている男性と夫婦になった場合、保護費の受給なしでも普通に生活することができるので、生活保護の受給対象から外れてしまうこともあります。そのような場合、生活保護受給者が辞退の手続きをし、受給停止させるしかないのです。
ですので、保護を打ち切られたくないというのであれば、あえて収入の少ない相手を選ぶという選択肢があります。仮に、相手が無職であるとすれば、これまでと同じように保護費の受給が許される可能性は高くなるのです。
ケースごとの対応は?
結婚したいと考えた時、状況によって生活保護での対応が異なります。ここからは、4つのケースとその対応について見ていきましょう。
妊娠している
妊娠した後に結婚する場合、結婚相手にも生活保護を受けてもらうか、自分が生活保護を受給停止させるかのどちらかになります。結婚相手の生活状況や収入によって決まるので、自由に選べるわけではありません。
また、女性が生活保護を受給中で、結婚せずに出産すると決めた場合には、母子家庭という状態で生活保護を受給し続けることができます。このように、妊娠してからは状況が多少なりとも変わるので、ケースワーカーに相談することをおすすめします。
どちらかが障害年金をもらっている
障害年金は生活保護よりも優先されるものなので、受給するとなると受け取れる金額が変わってしまいます。
例えば、AさんとBさんが結婚をするとします。Aさんが障害年金をもらっていて、不足分を生活保護費でまかなっている場合には、結婚後どのような変更があるでしょうか?
2人が結婚した後でも、Aさんは障害年金をもらい続けることができます。しかし、Bさんに収入があれば、Aさんが今まで受け取っていた生活保護費は減額、または打ち切りとなる可能性が高いです。
生活保護費の金額は、障害年金が絡むことでややこしくなるため、ケースワーカに相談しておくのがよいでしょう。
どちらも障害年金をもらっている
両者とも障害年金をもらい、なおかつ生活保護も受給している場合、障害年金だけは今までと同じ額が出ます。しかし、生活保護は減額されるでしょう。
個別で部屋を借りて生活するより、2人で同じ部屋に住んでいる方がお金がかからないため、仕方のないことなのです。
外国人と結婚したい
自分が生活保護を受けていて、外国人の結婚相手も生活保護を受けたいという場合でも、状況に応じて申請できます。外国人でも在留資格さえあれば問題なく受給できるのです
生活保護受給中の結婚でよくある疑問
ここからは、生活保護受給者の結婚で気になることをまとめてみました。
結婚に伴う引っ越し費用は負担してもらえる?
結婚後は、それぞれの家で生活するのではなく、どちらかの家に引っ越すか、新たに部屋を借りるかするでしょう。しかし、結婚を理由に引っ越す場合には、その費用を負担してはもらえません。
引っ越しする時は、退去や入居にも諸費用がかかるので、あらかじめ少しずつお金を貯めておくのがよいでしょう。また、敷金や礼金などが戻ってくれば、そのお金を引っ越し費用に充てることは可能です。他にも何か方法がないか、ケースワーカーに相談してみてはいかがでしょうか。
結婚指輪は用意しても問題ない?
特に問題ありません。ただし、生活保護費で用意するしかないため、高価なものは購入できないと思われます。「生活保護を受けるには、資産価値のあるものを手放さなくてはいけないのでは?」と疑問に思う方もいるでしょう。
生活保護を受給するにあたって処分しなければいけないのは、住宅ローンが残っている持ち家や所有している土地、自動車、貴金属、株などです。貴金属には確かに結婚指輪も含まれますが、ファッションとしての装飾品ではないので、処分するように言われることはまずありません。
結婚式は挙げられる?
結婚式は挙げられないでしょう。生活保護費は最低限度の生活を送るためのお金ですし、結婚式は必ず挙げなくてはいけないものではないからです。
また、友人や親族から結婚式に招待された場合には、参列することは可能となります。しかし、ご祝儀や衣服に必要なお金は自分で用意しなければなりません。結婚式に向けて節約し、コツコツとお金を貯めておくしかないのです。
生活保護を受給していたことは相手にバレる?
「自分が生活保護を受給していることが、結婚相手にバレるのでは?」と心配する方も多いでしょう。実際にバレるかどうかは、その状況によって異なりますが、可能性は0ではありません。
例えば、親族や通っている病院の関係者などには、生活保護受給者であることを知られてしまいます。生活保護を申請する際に、親族には連絡がいきますし、病院には保険証代わりに受給証を提出するためです。
また、住んでいるアパートの大家さんにもバレることはあります。たとえば、まったく手持ちのお金がなく、「生活保護費が出るまで家賃の支払いを待ってほしい」と頼んで知られるケースが多いです。
近所の人に、ケースワーカーが訪問してきているのを見られてしまってバレた、ということもあります。そのような情報が広まり、結婚相手に知られることはあるでしょう。
離婚後も生活保護は受給できる?
収入が変わらない、または減額となるなら継続して受給できます。また、子どもの親権を得た場合には、子どもを育てるために必要な児童扶養手当や母子加算などがもらえますよ。